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この日は大変なことになった。このブログを書いている最中も怖くて文章がおかしくなっているかも。ご了承ください。
朝起きると、昨晩からお世話になっている警察官の方がやってきて、「カプリビへ回廊へ行くなら朝5時~昼12時までに動くこと」と野生動物が活発になる時間帯を教えてくれた。
このポリスステーションはスタッフ交代制で24時間稼働しているらしい。テントを張ったあと、夜23時過ぎだったと思う。犯人と思われる人と口論になっていて、施設内の奥に連れていかれるのを見た。そのあと拷問のような声が聞こえてきて、気になってしまいあまり眠れなかった。仕事熱心な警察官でした。
既に時刻は午前8時だった。
これから出発すると野生動物が活発になる時間とかぶってしまうので、出発は明日に決定した。そう決まると暇で仕方なかった。先にカプリビ回廊を下見しておくことにした。
ライオンなどの野生動物が棲むサファリ、カプリビ回廊はオカヴァンゴ川を挟んだ先にあった。
カプリビ回廊のゲート。ここから約180kmほどサファリが続く。
入口に軍人さんがいたので、カプリビ回廊は危険ですか?と質問してみた。すると「危険だ。自転車で行くのはやめてヒッチハイクしなさい。」と返ってきた。他にも地元の方だろうと思われる人達、何人かに聞いたてみたが、やはり危険だと言われてしまい、さっきまで行く気満々だったはずなのに、気持ちに迷いが出てきた。
このあと町を行ったり来たりして散々悩んだ結果、今日中にヒッチハイクでカプリビ回廊を越えることにした。
ヒッチハイクを始めて5時間が経過していた。何台か止まってくれる車もあったが、「自転車を積んでいくのは難しい」、「途中までなら行くよ。」などと条件が合わず断られ続けた。仕方なく今日中のヒッチハイクを諦めて自転車を組み立て直そうとした。まさにその時だった。
先ほどからゲート前にいた軍人さんが、僕の様子を見兼ねてか、僕の代わりにヒッチハイクの交渉をしてくれていたみたいで、1台の車に乗せてもらうことになった。ありがたい。感謝で一杯だった。軍人さんにお礼をして、再び自転車をバラシてから車に載せた。
ヒッチハイクでお世話になった彼の名前はDerickさん。「僕がKongola(180km先)までいくらですか?」と尋ねると、約1000円で良いよとのこと。安すぎる。180kmは日本言うところの愛知県から大阪を越えてさらに40km先までいける距離だ。ガソリン代にもならないのではないかと思った。
Derickさんは300km先のカティナムリロの方で、家に帰る途中だったらしい。
彼が言っていたのだが、カプリビ回廊には物凄い数の野生動物が棲んでいて、夜になると道路の脇に様々な動物がやってくるらしい。今まででライオンを2匹、ハイエナや象は数えられないほど見ているとのこと。やはり自転車で走るのは危険だとも言っていた。昼間でもたまに道路脇に出てくることがあるらしい。
そんな話を聞いていたら、この選択で良かったと思えるようになった。Derickさんとは車内で旅の話をして盛り上がった。お友達になりSNSを交換した。感謝の気持ちでチップとしてお金も多めに払った。
2時間ばかりでKongolaに到着。Kongolaの手前にゲートがあって、そこの軍人さんが車に乗った僕を見て「自転車で来てないのかい!?君は弱いね。もしここから自転車に乗ってKongolaに行けば、カプリビ回廊を走っていなくても英雄だと思われて皆に拍手されるぞ!さあ今から自転車に乗って町に行ってみろ!ワハハハ」と冗談で言っていた。僕も同じように笑った。僕にはカプリビ回廊を自転車で走るのは無理だった。僕は弱い。
僕は普通の人間で野生動物の前では無力だと実感できた。色々な場所で知らず知らずのうちに皆に助けられて、ここまで生きてきたんだ。と改めて思った。そして「カプリビ回廊のような危険な場所を自転車で走ってきた。」というそんな伝説を求めていない自分を発見できた。僕が求めているのは自転車世界一周を安全に無事に達成したい。もう少し若ければやっていたかもしれないが、昔とは違う立場にいるんだとも思った。
そんなことを考えながら自転車を組み立ててキャンプ場を探した。
スタッフの方が言っていたのだが、たまにゾウやカバが出没するらしい。カバは2匹この辺りを縄張りにしているらしい。もし何か異変があったらこのベルを鳴らしてほしい。とベルを渡された。ベルを鳴らしてくれればスタッフがなんとかします。とのこと。無事に朝を迎えたい。Bush Camp by Camp Kwando(地図)
…
…
辺りが暗くなってきた。…先ほどはゾウやカバを見れるかもと思って楽しくなっていたが、寝るだけなのに死の危険があると考えたら怖くなってきた。テントのすぐ横に川があるのだが、奥の方で水草が動いてるのわかる。カバかな…?
暫く静かにしていたが………やはりカバが近くにいる。川で身体をふる音が聞こえてくる。ブログかいてる場合じゃない。さっきシャワー浴びたばかりなのに汗かいてきた。
テントの中でじっとしていると、カバがこちら側に向かって唸り声をあげてくるのが分かった。おそらく威嚇されたと思う。ヌオオオオオオオオという低い唸り声。僕は恐る恐るベルを鳴らした。しかしスタッフは一向に現れない…。これは大変だ。……焦りながら必要な物をポケットに入れノートPCを手に持ち、テントから急いで逃げた。
離れた場所にある受付まできたが誰もいない。
夜の12時。朝までここにいる事にしよう。テントの張ってある場所に怖くて戻れない。長い夜になりそうだった。ノートPCとスマホなどは持っているのでネット環境はある。ブログを書き始めた。
カバの習性として夜は草を食べに陸に上がってくる。特に乾季では川から3kmほど歩いて草を食べることもあるらしい。そして威嚇しても縄張りにいる者や近くにいる者には攻撃を始めるらしい。カバは基本的には草食だが、栄養を補うために動物や人間を襲う。雑食という見方もできる。
確かにテントは川からさほど離れていない場所に張った。それで威嚇されていたのかも……。
…
…
…とその時だった。
続く…