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この日も出発が遅くなった。自転車で走り始めたのは昼2時だった。

 

今いるマクユニ村(地図)からアルーシャ(地図)までは80km走る。治安最悪とも言われるアルーシャなので、暗くなる夜までには到着しておきたいが出発が遅くなって難しそうだった。おそらくアルーシャまで7時間ほど掛かる。9時頃に到着できるかなといったところ。

 

 

昨晩泊った宿のレストランでPC作業をしていると、人懐っこい宿のオーナーさんが1匹の鳥を連れてきてくれた。

 

僕は鳥について詳しくないので間違っているかもしれないがインコだろうか。

 

 

一見すると置物にも見えるが、まばたきをしているので生きているだろう。

 

変わった模様をしている。小さくて可愛かった。じっとしていてほとんど動かない大人しい鳥だった。

 

 

昼を過ぎていたので、走る前に昼食を食べた。

 

いつも通りのメニュー。白米と煮た豆。付け合わせに温野菜。どれも塩だけのシンプルな味付け。温野菜はちょっぴり苦い小松菜みたいな味で、タンザニアではよく付け合わせとして出てくる一品だ。値段は全部で150円ほどだった。

 

 

天気は良く最高気温27度だが、日差しが強く湿気があるので蒸し暑く感じた。

 

暫く走っていると…

 

 

車に轢かれて死んでいるのだろうが、今にも動き出しそうな蛇。

 

おそらく毒蛇?自転車で走っていると道路脇でこのような死んだ蛇をよく見かけるのだが、ここまで綺麗な状態の死体は初めてみた。なんとも大きい。アフリカには毒蛇がいるのは知っているが恐ろしい。もし見通しの悪い夜の道路にこんな蛇がいたとしたら本当に怖い。改めて気を引き締めながら走った。

 

 

マサイ族の写真…初めて撮れた。

 

スマホで電話していたところを、僕がジェスチャーを使って写真を撮りたいと彼にお願いすると、笑顔で快く了承いただいた。マサイ族も時代の流れに沿ってスマホを持つ時代。そういえば前情報ではマサイ族の写真を撮ると金銭を要求されると聞いていたが、何事もなく写真撮影できた。

 

 

マサイ族は遊牧民として、羊・牛など家畜を飼って生活している。

 

今日も道路脇で沢山のマサイ族に出会った。

 

 

この辺りの景色は綺麗で走っているだけで気持ち良かった。

 

あっという間に時刻は5時になっていた。夕暮れ時に一軒の売店を発見。目的地までまだ40kmもあるが休憩することにした。ここにきて連日の疲れが出てフラフラとしていた。お腹を満たせば治るかなと思い、何かを食べることにした。

 

 

パンとチョコレート味のビスケットを購入。全部の値段で140円。

 

僕はパンを食べながら近くにいた住人に質問してみた。「アルーシャは危険ですか?」と尋ねたところ、「アルーシャは危険じゃないよ。安全だよ」と返ってきた。これを聞いて少し安心した。

 

 

パンとビスケットを食べるとフラフラが治っているように感じた。

 

まだ走れそうだった。

 

 

すぐに辺りが暗くなってきた。自転車用ライトで周りを照らしながら走った。暫くすると車の交通量が増えてきた。アルーシャの20km手前にあるキソンゴに入ると街灯などでうっすらと明るくなってきた。

 

アルーシャ行きのバスに乗り降りする人が多く、発展した町に入ってきたなという印象だった。

 

 

事前に調べて目星を付けておいた宿へと向かおうとした。このまま直進すればあと10kmでアルーシャだが、僕が探しておいた宿はここで左折した方がショートカットになって早く到着できそうだった。左折しようとしていた。ただ左折する前にどうしても気になっている事があった。道を歩いている現地人に尋ねてみた。僕が「左折する道はアスファルトですか?」と聞くと、「アスファルトだけど古い道だよ」と返事が返ってきた。もし砂の道だったら遠回りしようと思っていたが、アスファルトと聞いて僕は安心した。お礼を言って左折して裏道を走り始めた。

 

……この選択が間違っていた。しばらくアスファルトだったが途中から砂の道になった。道路脇には背の高い木が生えていて、古い山道を走っていた。真っ暗闇で蛇が出ないかと緊張しながら走った。アフリカでは木から蛇が落ちてくることも多い。道に転がる大きな石にぶつかって小刻みにジャンプしながら自転車を漕いだ。緊張と疲労で汗だくになった。蚊にも刺されないよう出来るだけ体を動かそうとしていた。苦戦しながらも裏道を越えるとやっとアルーシャに着いた。

 

 

なんとか宿に着いたが、時刻は10時近くになっていた。夜道を2時間ほど走っていたらしい。凶悪都市と言われているアルーシャだがいつものタンザニアの町という印象を受けた。長旅により感覚がおかしくなってる可能性もあるが。

 

到着してまず宿の外観を見て驚いた。タンザニアにしては綺麗な宿だった。4階建ての建物。もしかして高いのかなと思いながら受付へと向かった。

 

 

内観も綺麗。受付のスタッフもしっかりしてそうだった。

 

 

Panone Hotels(地図)シングルルーム1泊2850円。アルーシャでは個室だと3000円以上する宿が多いので格安に思った。Booking.comには載ってなくてGoogleMAPから調べて目星を付けていた。

 

木を基調とした家具でモダンな雰囲気。久々にしっかりとした作りのベッドをみて嬉しくなった。朝食付きでWIFIもエアコンもある。安いなと感じた。数日間はこの宿で体を休めたいと思う。そして久しぶりにまともな自転車屋があるので良いパーツがあれば修理したいな。

 

 

年末を過ごすナイロビまで271km。あと3日走れば到着できそうだ。タンザニアにいるのもあと少し。ケニアへの国境越えを含め、気を抜かずに走り切りたい。




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