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雰囲気の良いバーから誕生日を放送していたのだが、24:00に閉店してしまった。「飲み足らない。」どこか開いている飲み屋はないかと夜の街を歩いていると、3時まで営業しているバーを見つけた。間接照明は一切ない、一昔前のバブル世代が作ったかのような雰囲気。隅々まで清掃され輝いた店内にはスロットが3台置かれている。普段なら入らないであろうお店。

 

 

1ℓ2.50€(約300円)のビールを注文した。残念な事にWiFiと店に表記されているのに、機器が壊れていたらしく繋がらない。続きの放送はできなかった。そういえばスペインのビールは安い。売店でビールを購入したらいくらになるんだろう。飲みやすくて3ℓ飲んだ。酔って体がフワッとする。心地よくなってきた所で店員さんらが掃除を始めてしまい、仕方なく店から出て外を歩いた。30歳の誕生日は過ぎて行った。

 

 

この時期のバルセロナは寒い。気温は1~5度といったところ。白くなる息で遊びながら寒さに凍えて歩いた。数日前と変わらず夜の街は輝いて見えた。深夜で誰もいないかと思ったが、ダンボールを下に敷いて毛布を被った路上生活者が建物の脇に何人か寝ていた。路上生活者といっても暖かそうな服を着ていて南米の彼らとは違った。治安はというとブラジルよりスペインの方が窃盗事件が多いらしい。

 

 

 

……翌日の朝

 

目が覚めると頭が痛い。ベッドから体を起こそうと試みても頭にピリピリとした痛みがあって起きられない。二日酔いだった。もしかしたら初めての経験かもしれない。けっこう激しい頭痛がして苦しかった。起きる事は諦めてもう少しだけ寝る事にした。再び起きると夕方になっていて陽が暮れかけている。これには驚いた。以前より体がお酒に弱くなったように思えた。身体の衰えか、これが30代の洗礼なのかもしれない。とも思った。

 

今日は彼女と再び飲む約束をした日である。また彼女の笑顔が見れる、楽しみにしていた時間はもうすぐだった。急いでブログを書き終えたが、先日から溜まっている誕生日メッセージに返信する事はできなかった。約束の時間まで1時間を切っていた。時間が迫ってきているが、もう一つしたい事があった。自転車旅で消耗した服、都会を歩けそうな服を購入したかった。宿から出ると服屋を目指した。

 

 

こういう書き方の中ではお店の名前を出すとイメージが壊れるので書きたくないのだが、H&Mだ。安価でデザインも安心できる。東京でも着ている事はあったが、この旅ではZARAと並んでお世話になっている。ZARAかH&MのVネックのコットンTシャツが好きでよく着ている。これからの旅を考えてお気に入りのコットンTを数枚、都会で着るようの服を購入した。

 

購入してすぐにトイレに入って新しい服に着替えた。時計を見ると思っていたよりも時間が過ぎていた。「間に合いそうにない。」すぐに彼女にSNSを通じて連絡した。すでにスペインのSIMカードを購入していたので外でもネットができた。謝りのメッセージを送り、急いで彼女との待ち合わせの場所へ向かった。待ち合わせ場所は彼女が宿泊しているホステルだ。どうやら母親と別れた彼女は高級宿から節約のためにホステルへ移動したらしい。

 

 

結局30分近く遅刻してしまった。それでも彼女は嫌な顔せずに待っていてくれた。今日は彼女のホステルで飲む事にしようと、事前に僕と彼女で決めていた。予定通りお酒を買いに売店へ。彼女は宿の近くにあるスーパーマーケットを探していてくれていた。気の利いた彼女の行動に嬉しくなった。スーパーに到着して白ワイン1ℓ、赤ワイン1ℓ。購入したワインは1ℓ80円、水みたいな値段に驚いた。他にはトマトソースパスタを作る材料のペンネ、トマトソースとオリーブオイルと玉ねぎ、おつまみ用にトマトやアボカドを何個か買った。

 

宿に戻るとキッチンで一緒になって調理を始めた。手際よく食材を切る彼女。そういえば僕は自転車旅の中で自炊をほとんどしなかった。走る時は小さめのフランスパンを一日10個以上をよく食べていたり、アボカドは手で皮を剥いてバナナのように食べていた事、スパゲッティは生の硬いままボリバリして食べていたと話すと、彼女は驚いて笑っていた。

 

 

アボカドとトマトを一口サイズに切ってオリーブオイルと塩で味付けしたサラダ。オリーブオイルで炒めた玉ねぎと塩コショウで味を調えたトマトソースパスタをテーブルに置いて乾杯から宅飲みを始めた。しっかり炒めた玉ねぎやオリーブオイルからの良い香りに食欲が刺激される。調理したパスタやおつまみを楽しみながらワインを飲んだ。

 

しばらくして彼女と僕もほどよく酔ってきました。お酒に強い彼女。顔にもほとんど出ないが、酔ってくると僕のコップにお酒を注ぐ癖があります。イタズラ心でもっと酔わしてやろうと思いました。悪さしようとかそういう意味ではないのですが、楽しませたいという気持ちからです。飲みながらも彼女のコップにワインを注ぐ事に集中しました。

 

次は…………彼女の記憶が飛ぶ話です。

 

 

 

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