盗難された？…頭がおかしい

朝起きて体温を確認すると34,8度と低体温が続いている。昨日の記事にも書いたがこの体温くらいになると体が動かなくなるらしい。主にストレスが原因とのこと。そして自転車の状態も芳しくない。もし今日も40kmほどしか走れないのであればナイロビに戻ろうとしていた。僕は自転車に荷物を載せてナニュキまでの68kmを目標として走り始めた。

昨晩泊まっていた宿から走り始めてすぐ、近くにあった売店で水を購入しようとした。僕は店内から見える位置に自転車を壁に立てかけて、掘っ立て小屋のようなお店に入り、店主に水のお金を払っていた。店主がおつりを返そうとする間も、僕は後ろを振り返って自転車を見たりして警戒していた。数秒後に店主からおつりを受け取った僕は再び自転車を見た。…すると自転車に付いているはずの鞄が無くなっていたのだ。

一瞬で消えていた…。遂にやられてしまった。片方の鞄が見事に無くなっている。

突然の盗難に頭が真っ白になった。鞄の中には予備のスマホやモバイルバッテリーが入っている。海外保険に入っているのでお金は戻ってくるだろうが、新しく買おうとすると、おそらく首都ナイロビにしか売っていない。しばらく鞄を奪ったであろう誰かを探すために自転車に乗って町を彷徨った。見つかる訳はないが、体を動かしていた方が気持ちが落ち着いている気がした。この時の僕は体調も悪く、自転車も不調、さらに鞄を盗まれるという状況に僕は精神的に参ってしまったのだろう。

鞄ごと盗まれてしまった。 pic.twitter.com/Oo8SvlyU01

— 高橋せんまる 自転車世界一周 (@Semmaru_t) January 21, 2020

と盗まれたことをツイートしている。

もういいや。とりあえず一度ナイロビに戻ろうとバスステーションへ向かった。

自転車を解体して荷物をまとめようとしていると沢山の人々が集まってきた。また盗まれるんじゃないかと緊張しながら自転車を輪行バッグに入れた。バスの運転手さんに手伝ってもらいナイロビ行きのバスに自転車を積み込んだ。バスの座席に座るとやっと気持ちが落ち着いてきた。バスの中には自転車と僕しかいない。値段は自転車を含めナイロビまで800円だった。自転車が無ければ一人200円と激安バス。

しばらくバスの中で待機していると、1本の電話が掛かってきた。何だろう…。僕は電話に出た。

「あなたの鞄がエントランスに置きっぱなしになっていたので保管してます。取りに来れますか？」と宿泊したホテルからの連絡だった。どうやら僕の勘違いだったらしい。鞄があると聞いて安心しつつも、自分のバカさに驚いた。もしかすると疲れで本当に頭がおかしいのかも。低体温は意識障害も起こるらしい。

僕が自転車をバスから降ろして組み立てていると再び沢山の人々が集まってきた。

先ほどは疑っていて申し訳ないなと思いながら自転車を組み立てた。皆と打ち解けたので記念撮影をした。ありがとう！

ホテルに戻って鞄を受け取った。お騒がせして申し訳ない。

鞄出てきました。すみません。僕の早とちりでした。ホテルに置き忘れてました。ブログに書いた通り疲れてて頭おかしいのかも。皆様お騒がせしてごめんなさい。 pic.twitter.com/P947DLdt4p

— 高橋せんまる 自転車世界一周 (@Semmaru_t) January 21, 2020

あのままナイロビに戻っていたら面倒なことになっていた。ホテルの待合スペースで少し休憩させてもらい、13時過ぎに出発した。

ゆっくりでも良いからエチオピア方面へと走ることにした。バスや飛行機を使えばすぐにナイロビに戻れるのだから大丈夫だと思うことにした。

途中にレストランのあるホテルがあったので宿泊することにした。18kmと今日もほとんど進めなかった。ただ一つ分かった事がある。やはりナイロビの自転車屋で適当に修理されたようだ。走っているうちに気付いたがフロントが2速しか入らない。これではママチャリよりも重い自転車。あとでワイヤーを調整して直すことにした。

栄養のあるものを食べようと思いチキンとライスを多めに食べた。

美味しかった。

食事した後、自転車を逆さにしてメンテナンスを始めた。

後で分かった事だが、あのナイロビの自転車屋はめちゃくちゃだった。ワイヤーは全く調整されておらず、ただ差してあるだけだった。前後全て自分自身で調整する必要があった。自転車屋に頼まずに初めから自分でやっておけば良かったと残念な気持ちになった。

ブレーキなどの調整もして30分ほどで自転車の修理が完了した。

おそらくこれで速く走れるはず。

Mt. Kenya Safari Halt Hotel（地図）1泊1700円。先ほど体温を測ると35.9だった。低体温も治りつつある。

明日はもっと長い距離を走りたい。